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アマオケ活動に関するTipsを書き留めてます

クラシック音楽にまつわる著作権 - 録音編

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楽譜に関する著作権に引き続き、録音の利用に関する著作権を整理します。
前回と同様素人の見解ですので、本記事の内容によって発生したいかなる損害も補償しかねます。

vcmorizo.hatenablog.com

録音も楽譜と同じように、色んな人が権利を主張できそうな気がします。
具体的に挙げてみると、

  • 演奏した曲の作曲者
  • 演奏時に参照した楽譜の出版者
  • 演奏をした演奏者
  • 演奏を録音した録音者

辺りでしょうか。
ここでは個人や所属する楽団で演奏した録音をネット経由で配布するときに、上に挙げた人たちがどんな権利を主張できるのか(またはできないのか)を見ていきます。

録音の配布は作曲者の著作権、演奏者・録音者の著作隣接権をクリアすればOK

作曲者の著作権は真っ先に気にしますし、出版者は楽譜同様権利が認められないと考えられますので問題になりにくいでしょう。
注意しなければならないのは、エキストラの演奏者指揮者を呼んでいる場合、録音を外部の録音業者に依頼している場合です。
これらの身内でない人たちにも著作隣接権が認められるので、録音をコピーしたり公開する場合には利用許諾を得るようにしましょう。

作曲者の著作権は没後50年で消失

作曲者の著作権ベルヌ条約で定められている保護期間(基本的に没後50年)を過ぎると消失します。
楽譜に関する著作権で確認したとおりです。

著作権の保護期間 - Wikipedia

出版者には著作隣接権が認められない

これも楽譜の著作権で確認したとおりです。
日本の現行法(2017年時点)では出版者の著作隣接権は認められないと考えられるため、出版者の権利は気にしなくてよさそうです。

演奏者(実演家)には著作隣接権が認められる

演奏者は著作権法で定められている実演家の典型なので、著作隣接権が認められます。

著作隣接権とは? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

著作隣接権を持つ人は、演奏の録音行為そのものや、録音の公開などといった演奏の二次利用をコントロールできることになっているので、それらの行為についてお伺いを立てなければなりません。
とは言っても演奏者が自分や身内(団員)だけの場合、著作隣接権が発生している実演家は身内だけなので難しく考えなくても大丈夫です。

身内以外の実演家(特に指揮者・トレーナー)に注意

しかし実演家に外部の人が含まれる場合には、その人達からも演奏の二次利用の許諾を得る必要があります。

例えば演奏者として外部のエキストラを呼んでいる場合、エキストラにも録音の利用について断りを入れておくのが良いでしょう。 *1
また、指揮者も音は出していませんが実演家として扱われるので、指揮者にも著作隣接権が発生します。

さらに細かいことを言うと、外部のトレーナーに指導に来てもらったときの録音に対しては、トレーナーにも著作隣接権が認められると考えられます。
アマオケの練習は録音するのが当然といった空気があるので、断りなく録音しても見逃してもらえることがほとんどですが、きちんとしたいのであれば指導を録音する時点でトレーナーにお伺いを立てる必要があります。 *2

録音者(レコード製作者)にも著作隣接権が認められる

録音者も著作権法で定められているレコード製作者と考えられるので、演奏者と同様に著作隣接権が認められます。
あまり演奏の表舞台には顔を出しませんが、録音者の権利も侵害しないように気をつけてください。

演奏会のCD・DVDの「無断複製厳禁」は本当にダメ

身内以外の録音者に録音してもらう典型例が、演奏会の録音です。

普段の練習は団員が録音すると思いますが、演奏会本番の録音は業者に依頼することが多いと思います。
僕は録音業者との契約に明るくないので実情を知りませんが、著作隣接権を演奏者に帰属させるような契約を結んでいない限り、自分たちが演奏したからと言って録音を好き勝手に使うことはできません。 *3

録音の権利が身内で完結しない場合、録音の利用は極端に制限される

録音の権利が発生している人たちから利用許諾を得ていない場合、かなり限定的な状況でないと録音を利用できなくなります。

著作物が自由に使える場合は? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

一番関連すると思われる「私的利用」も、自分または家族が使う目的でしか認められません。
「特定の友達にだけコピーして送る」なんてのも本当は許可されていません。

おわりに

録音に関わる権利を整理してみましたが、指揮者や録音業者の権利は見落としがちなので気をつけたいですね。
録音業者は録音で飯を食っているため特に権利に厳格と思われますし、指揮者の権利も所属している事務所がきちんと管理している場合が多いです。
マチュアだからなあなあでやれてしまうことは否定しませんが、いざという時のために正しい権利構造を知っていて損はないと思います。

何はともあれ、録音も然るべき権利者から利用許諾を貰えば大手を振って二次利用ができることが分かりました。
温めていた録音のTipsも公開できそうです。

*1:コンチェルトをソリストに無断で公開すると不味そうな気がすることを考えると、分かりやすいかと思います。

*2:権利云々を抜きにしても、録音する前に一言断りを入れるのが礼儀とは思いますが。

*3:本番の録音や画像をネットで配信している楽団をたまに見かけますが、録音業者の利用許諾を得ているのか少し心配です。